IE9ピン留め

家族も認知症

介護というのは何も入居者だけが必要なわけではない。まだ配偶者がいるけど入居している人は当然配偶者が訪ねに来る事が多い。私のユニットには配偶者が来るパターンが多いので、ユニットに高齢者が増えても『あの人は○○さんの奥さん。』と覚えておかないと混乱する。

HVさんは重度パーキンソンの男性。彼の奥様は看護師。そしてこのホームの元看護師だったと言うべきか、職場の事は何でも知っている。毎日数回HVさんを訪ねる。きっとHVさんのためだけではなく、仕事そのものが好きだったのだろう。引退してもHVさんの"看護"は続けている。

HVさんは胃ろうなので1日4回経管栄養を必要とする。奥様は夕方の経管は自分で行っていて、おむつ交換もするわ、着替えもしてくれる。私達には助かっているが、こうして奥様の力を借りて頼り切っていると、彼女が来れなくなった時私達も大変だろうな、と思う。なにしろHVさんは大きくて重い。デン人には珍しく高齢者なのに『筋肉質』なタイプ。それにパーキンソンなので筋肉が硬直しているから彼の体を楽にさせての介護は結構大変だ。彼の場合『介護』より『看護』に近い。でも病気が病気なので私にはとても興味ある方で奥様とも仲良くなったので、違和感はない。

AAさんは認知症の男性。食事した後は部屋に戻り洋服のまま寝る。そして数時間後に出て来てまた席に座る。本人もなぜ席に座っているのか、自分で理解していない。昨日はぶらーっと出て来てまた席に座っている。20時頃はとても忙しいのでバタバタしている私達を眺めているので、『コーヒーでも入りますか?』と聞けば『いらない。』と言う。『おなかすいたの?』と聞けば『すいてない。』と答える。しかし何が希望なのか聞いても本人もわからないわけだ。だからほっとくしかない。

でも彼は夜に目薬があるので『目薬の時間だから部屋に戻って。』と頼むと付いて来た。私が『もう遅いから寝る?』と聞くと『はぁ?今何時?』と聞く。『もう21時だね。』と言うと返事なし。彼はベッドに座り私が目薬を差すと『何が起きたんだ?』と言う。『何が起きたって?何も起きてないよ。』と言うと『ちゃんと説明してくれ。だってだって…ほら、これ…。』と言う。

意味がわからない。(苦笑)

『もしかして混乱しているの?』と聞くと『違うよ。だってほら、これ…これ…。』と言う。私が彼の心を想像するとしたら多分夕方家族がたくさん来てて今一人ぼっちだから理解出来ていない、とか、食事かと思って席についたのに部屋に戻された、とか、なんかちょっと本人的に納得いっていないようだった。しかし彼は言葉足らずなのでコミュニケーションという部分がまったく出来ない入居者なのだ。

仲間に『AAさんね、こんな事言ってたよ。』と話したら『彼はねー、本当に何を言いたいのか理解するのが大変だよ。』と言っていた。やっぱりそうなんだ。私は彼に対して『言葉』を頼りにしてはいけないんだと思った。それならある意味何とかなるかもね、言葉より心を読む方が外国人の私にはわかりやすいから。でもAAさんはわからんなー。彼本人が自分で何を考えているのか理解していない時も多いので。

で、AAさんの奥様。訪ねて来たのは良いのだが、昨日は封筒にお金を入れて来た。『そうそう、これ払おうと思っていたのよ。家賃。』と言う!!!

家賃???????

私は目が点になってしまったが、ここは悟られないようにしなきゃ、と思った。だって他にも家族がいて多分AAさんの娘さんか息子さんか、数人がいたので彼らに対応が出来ない介護士と思われたらまずいとも思った。でもこの奥様に対して何て言えば???

『じゃ私から仲間に伝えておきますから、その件は後で。』

と濁しました。すると奥様は『あ、そう。わかったわ。』とあっさり。

その後仲間に話すと『AAさんの奥さん、かなりの認知症だよ。彼女こそホームに入居するべきだと思うけどね。』と言っていた。やっぱりね!だって現金払いで『家賃』ってホームではありえない話ですから!前もそんな事を言っていて何度も早番さんが説明していたのに結局わかっていないようだ。いや、お金の話で何度も介護士に話しかけてくる。お金の心配しているのも典型的な認知症のタイプ。

家族にも色々いる。協力してくれる人もいれば認知症の家族をホームに入居させているのにきちんと面倒を見ていないと文句いう人もいる。例えば本人が掃除を拒否して部屋に入れようとしないのに『母の部屋の掃除が出来ていない。』と言う人もいる。認知症を理解するって介護者より家族の方がよっぽど大変なんだろうなと思う。自分の父や母がそんな状態になったからって、はいそうですか、って簡単に受け入れられないだろうし。でも介護者として大変だな、と思う事は認知症なのに普通の生活をして本人はまったく今までと同じと思っているAAさんの奥様みたいなタイプ。入居者ではないし、本人は『入居者の家族』として介護者にあれこれ話すけど、結局それは認知症の入居者さんと会話をしているのとまったく同じ状態。

認知症はいくら勉強しても絶対にマニュアル通りにはいかないパターンが多いな、と現場で色んなタイプの認知症を見て感じます…。

# by anthonbergdk | 2009-12-20 12:05 | 介護 

働いています!

正式に介護士となり、職場に戻りました!しかし色々大変です。役所が節約に入って色々なところに問題が出て来ています。いきなり愚痴りたくなりましたが、この不況のデンマークで、しかも田舎に住んでいながら外国人の私が老人ホームの正社員として仕事が出来るわけですから、有り難いと思って頑張ろうと思っています。

私が現在仕事をしているユニットは前回仕事していた場所ではなく、別のユニットです。このユニットは何度か手伝った事があるので、入居者さんは知っていましたが、気づいたら3人亡くなっていました。という事で新しい人も3人。そして1カ所空いていたところにもう一人入って来ました。

あ!私彼の事知ってるよ!!

そう、研修先に短期滞在していた男性なのです!彼は90歳を過ぎているのだけど、認知症という程ではない。会話も面白いし介護もそれほど大変でもない。彼は私の事をうっすら覚えているようだったけど、家族は覚えていてくれました。やっぱり外国人はこういう時得ですね。(笑)

しかし今のユニット、かなり大変です。何が大変ってたった1人なんですけど、すごーーーい介護が難しい人がいるのです。前からいた男性Eさんなんだけど、彼が豹変しちゃったんですよ…。とっても温和でいい人だったのに、晩年で一気に変わってしまうものなんですね。

彼は今ほとんど寝ている時間が長いです。起きていても彼は叫ぶし周囲を見て恐怖になったりパニックになったりするので、食事をしては寝る、家族が来て起きる、また寝る、夕食の時に起きてすぐ寝る、みたいな生活です。

私は遅番なので彼の夕食と就寝介助をするのですが、これが大変。まず全員食事が終わってユニットの大広場には人を残さないようにします。そして彼を起こしに行く。たいていは便失禁をしている事が多い。排泄関係には非協力的です。洗うのは一苦労。いくら説明しても叫んだり殴ったりなので洗うまで到達するのは本当に大変。その後食事をして貰ってすぐ寝てもらう。

今日は彼を起こしたのが21時になってしまいました。いつもはもうちょっと早いのですが今日は遅くなってしまった。彼は元気よくベッドで叫んでいました。私が『ズボンだけ取り替えてから行こうか?』と誘ってズボンを脱がすと…やっぱり便失禁。彼は『わかっているけど誰にも下半身を見せたくない。』と言うのです。わからないでもないけど、便の場合はきれいにしないと尿道炎になるので『急いで洗うから手伝わせてくれる?』とお願いをする。彼の場合は下手に出る事がテクニック。

何とか協力してくれたので取り替える事が出来た!しかしシャツに便がついている…。シャツまで取り替えるのは無理だった。(泣)

車椅子で移動して食事をしてもらったが、おなかがすいていたようで今日は一杯食べた。私が自分の持って行ったメロンを切って食べた時『それじゃがいも?』と聞くので『メロンだよ。』と言うと『ほー、メロンか〜。』というので『ちょっと食べる?』と数切れあげた。これが甘くて美味しかったので喜んでくれた。その時に『後は全部自分で食べなさい。君の分を取り上げたくないから。』って言うんですよ!やさしい彼がそこにいるじゃないですか!!やっぱり彼はやさしい人なんですよ。ちょっと感動しました。

車椅子で動くのも怖がるのでゆっくりゆっくり押したら『いてー!』と叫んだので『どうしたの??』と聞いたら『指が挟まった!』と言うのです。自分で車輪を動かそうとしていたらしい。『ごめんね。見えなかったわ。こっちに掴まってね。私がゆっくり押すからね。』と言ったら『いや、オレが自分でやったから君のせいじゃないよ。』だって!

だんだん会話のテクニックが分かって来たよ!!

前は仲間が彼を怒らせて私がヘルプに入ると『中国人が来た!オレを連れて行く気なんだ!助けてくれー!!』と叫びだして私は手が出せなかった。でも仲間が彼を怒らせなければ私一人なら問題ないじゃないですか!

しかし今日の彼は食事の後目が冴えちゃって元気一杯!しゃべるしゃべる!『買い物に行こう!』と言うので『今日は遅いから明日にしない?私お金も持ってないから明日はちゃんと持って来るよ。』と言うと『オレも金ないや。妻に頼めば金くれるから明日にしよう。』と言う。

で、22時に仲間が帰り私一人で彼を寝かせる事に。しかし彼は寝たがらない…。22時半、もう限界だったので『Eさん、もう今日は休みません?ゆっくり寝て疲れとらないと明日買い物行けないし。』と言うと『もうそんな時間なのか?』と言うので『みんな寝てるよ。それに私ももうすぐ帰るから私の都合でお願いするのは悪いけど、今なら私がベッドまで連れてお手伝い出来るから。』と言ったら『じゃもう寝るよ。』と言ってくれた!!

何も問題なかったよー!シャツが便でちょっと汚れているのを取り替え出来なかっただけ。

ふと日本で仕事をしていた時を思い出してみた。私はこういう人の介護が好きだった。得意でもあった。相手がデン人だからとかデン語だからと怖がっていた部分があるかもしれない。私が怖がると相手に伝わってしまう。でも私は怖くない!ただ彼に怖がられると大変なだけ。

彼の介護は毎日の課題です。でも第一関門は突破したと思うので、これからも彼の精神状態を確認しながら介護していきたいと思っています。

# by anthonbergdk | 2009-12-05 09:36 | 介護 

デンマークの介護福祉士!

11月13日の金曜日(ある意味不吉な日??)に介護学校を卒業、無事合格しデンマークの介護福祉士になりました。

頑張った事は確かですが、最終試験の結果はイマイチでした。かなり落ち込んだけど、大切な事を忘れていました。デンマークの試験はある意味運です。誰が指導担当になるかまったく違います。私は今回運が悪かったと思います。なぜなら最後のテーマに『誤嚥』を選んだのですが、担当が化学の先生になってしまったのです。誤嚥=食事内容と捉えたこの化学の先生(介護分野の先生ではないからしょうがない)は私に食事関係と衛生関係を中心に、でもすべての科目を含めたレポートを書けと注文をしました。当然最後はすべての科目を含めるのは当然です。誤嚥となると『医療系』の分野なのですが、そこから『アクティビティ』『教育、精神学』『化学』『社会学』『医療学』を含めるのです。私の頭の中ではすべての教科を含めてレポートが書けると思ったのがこの誤嚥だったので、頑張りました。

そして最後の試験、先生は当然この化学の先生とセンサーと言ってただ聞いているだけの人が1人。先生からの質問はほとんど『化学』の分野だったのです!!!

私がテーマにしたのは、先生の注文通りでなかったのは確かです。誤嚥の予防を一杯書いた。その中にどれだけ介護者と利用者の関係が大切か教育、精神学を中心に書いた。社会学も一杯書いた。医療は当然しっかり書いた。だけどこの分野からまーーったく質問がなかったのです。

最初の5分だけで微生物関係の質問、その後は栄養関係。多分質問に答えている時から私の顔はムカついていただろうと思います。だって最終試験なのに化学の試験状態だったんですから。

そして『低栄養の人にはどの栄養素が必要か。』という質問に私は『どの栄養素も大切だから偏らないで食事させる事が大切。炭水化物には食物繊維もあって便通などにも良いし必要な場合はプロテインドリンクを飲んでもらっている事が現場では多い。』と言ったがこれが先生にとって駄目出しの回答でした。

『低栄養の人には脂質が大切。そうじゃないと痩せていくでしょ?76歳以上の高齢者は8200(女性)〜9400(男性)KJ(2279cal〜2613cal。日本人30代のもっとも活動量が多い人の平均カロリー摂取量!!)必要なんだから脂質を取らないとそれだけのエネルギーに達しない。』

という事が正解だそうで。私としては脂質なんて取り過ぎる事に凄く抵抗があるのですが、(絶対血管詰まるって!)まして高齢者にそんな食事が本当に良いのだろうか?と思ってしまう。それにこのエネルギー量、あり得んでしょ?そんなに取ってるからみんな成人病多いんだよ…。私なんて計算すると1日キチンと食べても7000KJ程度で、2000cal弱。日本人の女性年齢で考えるとかなり普通かちょっと多い程。それでもまだ2000KJ(556cal)不足しているって言うんですよ。そんなに食べられないって!

これが決定的な原因で私は成績がイマイチでした。おまけのように最後に『介護する時は自分の座る位置をどのように気をつける必要があるか?』と『誤嚥の人が孤独になった場合、どのように対応して社交性を育てるか?』でした。この2つは私には簡単でしたが、最後の2分程度のみ。10分の質問時間の8分は微生物と栄養学でした。

私は栄養士になるわけじゃないんですけど…。(苦笑)

最後の最後だったから介護内容で勝負したかった。先生が化学の先生であってもいくら何でもこれはひどいだろ?と思いました。あれだけ最後のプロジェクトはすべての教科を書けと言っておいて、試験はほとんど化学かよ!?と。

本当に化学の試験のようでした。そうなる気はしていたので不安ではあった。でもみんなから『マズローのピラミッドは絶対試験に出るよ。』と言われていたからそれは必死で勉強したのに、まったくそういう介護系は無視。化学の先生だから、多分その分野は苦手だろうと思ったけど、まさかここまで無視とは思いませんでした。

終わってから感情が出てしまって『こんなのフェアじゃない。何で最後の試験がほとんど化学の質問なんだ!私のテーマは誤嚥だったのに、ちょっとしたところをつまんで全部化学の方向に持っていったのにはムカつく。』とクラスメイトにぶちまけました。そしてそのまま帰宅。当日は悔しくて悔しくて、でも泣くのも馬鹿らしいと思ってこらえました。

次の日、私はどん底でした。涙が出て来る、出て来る。悔しくてこれから仕事する職場の元リーダーにメールしました。すると『おめでとう。合格したんだから成績なんて気にするな。あなたは優秀なうちの職員で、戻って来てくれる事が本当に嬉しいんだよ。』と言ってくれた。きっとこう言ってもらいたかったんだと思う。

あれだけ怒っていたからみんなに伝わっていたようだ。卒業式の今日、何人かから『大丈夫?』と言われた。『何で知ってるの??』って聞いたら『いや、みんな心配していたよ。凄く落ち込んでいたって言っていたから。』と言うので『試験が化学で終わったからがっかりだったのと悔しかったんだよ。』って言ったらみんなびっくりしていた。次の日は私の担任の先生が指導員となったグループの試験だったが、みな高得点だった。はっきり言って、私達の化学の先生グループはみんな成績がイマイチだった。そりゃそうだよ、質問が偏りすぎてるもん。怒っていたのは私だけじゃなかったけどね。

担任の先生に今日『出来最悪だったよ。』と私が言うと『試験なんてたかが10分の発表の事。それであなたの人生が決まるわけじゃない。』と言ってくれた。それに『今回の成績がどうであれ、あなたが優秀なのには変わりない。気にするな!』と言ってくれた。

研修先の教育コーディネーターも私を優秀だと何度も言ってはヘルパーの上のアシスタントの資格を取らないか、と断っているのに諦めてくれない程。それだけ私が向いている、優れていると言ってもらえるのは嬉しいが、今は本当に勉強から離れたい。(苦笑)

そんなわけで最後は残念な結果だったけど、私はまだデンマークに住んで4年弱、デンマーク語を勉強したのは2007年から。考えてみたらまだデン語の最終試験に合格してから2年弱だ。それでここまで来たなら良いじゃないか!そうだよ、私母国語で勉強していたわけじゃないんです。しかもデン語。最後の最後は悔しさに負けていたけど、この在歴で合格したんだからいいじゃないか!と思う事にしました。まぁ試験の結果なんてその後意味ないんですけどね、単なる自己満足だし。

私は11月16日から正社員として(ってか今までも正社員だったのですが、長期休暇扱いだった)お仕事開始です。職場は同じ老人ホームですが、ユニットは違います。でも代理をしていた時に何度も仕事したユニットで職員も全員知っているし、入居者さんも知っているので楽しみです。

このユニットには経管栄養の男性がいて、彼の奥様が元看護士という事もあり毎日来てお手伝いしてくれています。この奥様、私が代理の時から名前を覚えてくれて『デンマークに住んでまだ数年でデン語も話して仕事して偉いわね。でもデンマークって色んな面で厳しいから資格取らないと社員になれないし、早く取っちゃいなさい。』と前から言ってくれていて、勉強中にもホームで会ったら『今何してるの?』と言われたので『今学校行ってるんですよ。上手く行けば11月に終わります。』と言うと『戻って来るの?』と言われ『もう社員になってますから、戻って来ますよ。』と言うと『旦那のユニットに来てくれると嬉しいわ〜。あなたは本当に優秀で介護を理解している人だもの。みんな喜ぶわよ。』と言ってくれた。ご主人、まだご健在なので奥様にも会える事でしょう。

介護で大切な『家族とのお付き合い』もこういう良い人達ばかりではないですが、私は基本的に職場での人間関係には恵まれているので有り難いです。とりあえずデンマークの介護福祉士になる夢は叶いました!これからは介護士として仕事を頑張る事が私の現実的な夢です!!

# by anthonbergdk | 2009-11-14 08:08 | 資格取得に向けて 

失禁に対する知識

昨日は役所の勉強会でした。テーマは『失禁』。かなり面白く興味深い講習でした。

失禁とは、って誰でも知ってますよね?でもそのタイプがいくつもあるという事を知っていますか?まず失禁のタイプから原因などを掘り下げて介助の方法と進んで行くのです。日本にいた時はそこまで掘り下げた事はしなかったので、深く考えていませんでした。

パーキンソン病の人がトイレに間に合わない、という事も『失禁』の部類に入ります。トイレに行きたいと思って立ち上がったらその勢いで出てしまったのも『失禁』です。車椅子に座って立位も取れないから最初からおむつ使用の人も『失禁』です。とにかく色々あり、その失禁の度合いやレベルを考えておむつを選んだりトイレ介助の回数を考えたりします。

私が日本にいた時は、夜勤中4回もおむつ交換に回りました。それでも失禁している人っているんですよ。デンマークでは立派なおむつがあるので、夜間の失禁を防ぐ事が可能です。それでも失禁している人は、尿量ではなく夜勤者が取り替えていないんですよ。(苦笑)

実は今日、かなりたくさんの入居者さんがシーツ交換までする程濡れていたそうです。ちなみに私の担当入居者も2人濡れてました。滅多にないのだけど、指導員から『夜勤者が誰かで朝の状態が全然違う。それも問題の一つだ。○○さんの時はたいてい誰かが失禁している。』と言っていた。

日本でも似たような事がありますよね?(苦笑)

皆さん経験あるでしょう。おねしょをした事。あの状態で何時間も過ごせますか?無理ですよね。でも高齢者はそれが出来ないからおむつをし、寝ているのです。濡れて寒くなっても助けてとも言えない。そう考えたら取り替える事が大変でも避ける方法を考えてあげるべきですよね。

失禁は誰にでも起こりうるかもしれない身体の変化です。年を取れば筋肉の力が緩み、女性は特に3つの穴があるため、下半身の筋肉でそれを支える力は弱くなってしまいます。だから女性の方が失禁が多いのです。

介護者は排泄介助ばっかりで大変だと思われていますが、尿や便なんて怖いわけないです。本当に怖いのは自分たちが介助を怠ったばかりに高齢者達が尿道炎になったり病気になったりする事です。

私は今かなり重いユニットで仕事をしています。あと1ヶ月ですが、かなり勉強になっています。私が今後働く場所はかなりおっとりした人ばかりなので、楽に感じる事でしょうね。でも日本にいた時も重度なユニットだったので、それはそれで慣れているので動じてません。そういう意味では私にはぴったりな研修先だと思います。残り1ヶ月、頑張ります!!

# by anthonbergdk | 2009-10-01 16:47 | 資格取得に向けて 

死を見つめる

Eさんが亡くなりました。私が帰宅した20分後だったそうです。私は運がいいのか、悪いのか、職場で直接『死』にぶつかった事がありません。いつも出勤前だったり出勤後だったり。日本にいると老人ホーム内で亡くなるというのはあまり多くなりません。日本の場合、死の場所はどうしても病院という事が多いのでホームでも体調不良になると病院に連れていってしまいます。

デンマークの場合は老人ホームに入った場合はもうよほどの事がない限り病院には送りません。たいていは看護士が判断した時ですが、看護士が医者を呼んで来てもらうなどして対応します。考えてみたら高齢でホームにいるという状態なのに、これ以上点滴したり寝たきりにさせて治療したりする必要ってあるのでしょうか?勿論家族にもよりますが、無理に治療させて生かせるより、自然に死の道へ進む事も悪い事じゃないと思っています。

Eさんは亡くなる2日前まで微量ですが寝ながら食事をしていました。食べられるものはムース系のもののみ。飲み物もだんだん受け付けなくなりました。薬も飲めないので、看護士も『もう死期が近いから無理して飲ませなくていい。そのかわり痛み止めのシールを貼る事にする。』と言っていたのが火曜日。亡くなったのは水曜日。水曜日にはもうそろそろという状態になったので、みんなで『水分は取らせず口内ケアだけしよう。』と言っていました。なぜだかわかりますか?死んだら人間は溶けます。だから体の水分を増やさないようにするのです。デンマークは日本より火葬までの時間が長いので冷凍庫で保管されますが、それでも極力水分量を計算しています。

宗教の違いなのか、死に対する考え方が違います。デンマークでは、死んだら終わりです。その後は墓がある人は土葬か火葬かの状態で収まり、墓がない人は灰になって海や土に帰るのです。今回亡くなったEさんは旦那様も子供も先に他界していて、しかも旦那様はどこに埋められたのかわからないので、多分火葬されて海にでも蒔かれるのではないか、と言われていました。

水曜日の夜に亡くなったEさん。時刻は21時半頃だったので家族(多分姪)も見送る事が出来たそう。これが夜中だったら、一度帰宅して夜中に電話を貰ってなど大変だっただろうに、わざわざ家族がいる時間を選んでくれて本当に有り難いと言っていました。Eさんはクリスチャンで、信仰心は強かったのもあり、部屋中天使の置物やキリストのイラストなど飾られていました。そんなEさんなので、認知症になる前からしっかり自分の死の準備をしていたのです。デンマークには神父ではなく、Bedemandと呼ばれる、遺言や死後の希望などを文書にまとめて保管して、最後のお世話をしてくれる人がいます。Eさんはどの洋服を着るか、どの寝具を使うかすべて提出していたのもあり、最後は希望通りレースのすてきな白い洋服を着て棺桶に入りました。

木曜日の午後15時、Bedemandがやってきました。Eさんのお部屋で歌を歌い、祈りの言葉を言い、BedemandがEさんを棺桶に入れ、家族と職員がその棺桶を持ち(横に持ち上げるための手すりがある)外に運び、車が出発するのを見送りました。

家族は2人だけ、職員は私を含めて4人。日本のように亡くなった後たくさんの人が押し寄せるのとは大違い。これが高齢になって亡くなる人の運命か、と日本しか知らなかったら思ったかもしれない。でもたくさんの人が来たからどうなんだろう?Eさんは静かにこの世を去って、もう後悔もないと思う。それよりも最後を一緒に過ごした人達と静かにお別れするこの時間の方が重みがあって美しい気がしました。

『素晴らしい経験だった。本当に光と星が広がって、神様が連れていってくれるのね。』

と家族が言っていた。職員もみんな『良い死の瞬間でしたね。』と家族に言っていた。日本では亡くなった人の家族にそんな事言えない。どんな姿でもどんなに辛くても生きている事の方が価値がある日本。例えば高齢で病気を持ちながら苦しい時間を過ごして亡くなっても『辛かったから楽になれましたね。』と家族に言ったら苦情が来るだろう。でも本音はそっちですけどね。デンマークでは身内もしっかり現実を受け止めている。考え方の根本が違うので『死』については日本と比較は出来ないかもしれない。

よく夫が『死んだらもうおしまいだよ。自分であれこれ考えたってもう自分の力では出来ないんだから、どうなってもわからないし、気にしない。』と言っているのですが、冷たいのではなくこれが冷静に現実を捉えた考え方なのかもしれない。日本は仏教なので、死後の世界を信じる人が多い。そうでもしないと死んだ人を受け入れられないからかも。毎年命日だ、と死んだ人を忘れないように心がける習慣は素晴らしい事。デンマークではそんな事しない。本当に死んだら最後です。

私は父を忘れたくないから命日は大切にしたい。でもデンマークにいると『死』も日常の一つの出来事に思える。

Eさんが亡くなって、まだEさんの体がある時に部屋に入ったけど、何とも言えない空気が漂っていた。別に霊感は強くないと思うけれど、Eさんの魂がそこにあるとはっきりわかるような空気。やはり私はある程度死後の世界を信じている方なのかもしれません。

それにしても研修中に『死』を経験するとは、そういう意味では学生としてラッキーな出来事だったのかもしれません。Eさん、ありがとう!!おつかれさまでした。

# by anthonbergdk | 2009-09-18 10:17 | 資格取得に向けて 

宝探し!!(爆)

今日は久々に面白い事があったので、帰宅してから夫に話したくらいです。でも聞く方が嫌かも?(笑)

昼食前、掃除の人が手袋を持って来て『あるものが落ちているから拾って来て。』と言うのです。意味がわからずに『何で手袋?』と言ったら『じゃ見せるよ〜。』と言って一緒に歩いて行くと!!!


あっ!やな予感!!!



なんと窓のそばに白いものが落ちていてその回りには小バエが…。ぞぞぞ。

拾ったらそれは下着、そして当然中には丸くて茶色のすてきなものが入っていました!!きゃー!!誰だ!?こんな事したのは!!!

私のユニットにはこういう事をする人が2人いるのでどっちか?と思ったけど服が女性用だったので、いつも徘徊しているGさんだった…。Gさん、いったいいつそんな事を?私は彼女の身体介護は担当していないけど、徘徊している時に良く捕まえては手をつないで話しているんだけどねぇ。

で、14時頃。リーダーのHが『絶対まだある!臭いもん!』と言って探したら、ちょうど拾った下着の横にある植木鉢の中にあった!!!ひゃー!小バエがさらに増えている〜!!!

これは真剣に探す必要がある!と思った私達。(リーダーのHとヘルパーのCと私の3人ですが)今日はあちこちにバナナが発見されていてぐちゃ、と潰れていたりとにかくバナナ臭いのもあったのですが、今度は便かよ?って感じです。

私のユニットは認知症ばかりとはいえ、廊下には植物やら古い机やミシンやソファなどが置かれていて、いろんな隠し場所があるのです。オーブンの下にも引き出しがあるのですが、開けたらいきなり白いもの発見!『あった!』と言った私はCに『凄い!もう発見したのか?!』と言われました。(笑)これが楽しいものだといいんだけどね…。で、『下着ですけど全部捨てます?』と聞くと『嫌かもしれないけど一応開いてみて。』と言われたので恐る恐る開くと…


どろどろに腐ったバナナだった!!!


ぎゃー!はっきり言って便よりキツい!!!とりあえず下着は汚れているけど『食べ物の汚染』なので洗濯に出しました。

それからもタオルだけとかバナナだけとか見つけました。使用済みのパットも出て来たし、靴なども引き出しに入っていたのですが、ちょうど彼女の部屋を散策(?)していたらGさんが戻って来ました。

『あんた私の部屋で何しているのよ!?』と言われたので『ここに袋があったからね〜、袋を集めていたんですよ。』と意味不明の事を私が言うと『それはちゃんとそこに入れておきなさいよー!』と言うので『袋はここにまとめておきますね。』と言って別の引き出しに入れたら『勝手な事しないでよー。私のものなんだから!あんたのものじゃないのよ!何?手袋までして、汚いものを触るようにしているなんて、なんて奴!出て行きなさいよ〜!!』と怒られました。(笑)いや、確かにあなたのものですが、重度認知症の人でもこういう時だけ自分の権利を主張するので大変です。でも3分後には忘れて私と手をつないで歩いていました。

ちなみに私、日本にいた時に同じタイプの人の介護をしていました。ある男性の最期のシリーズの田村さんです。彼も便ボールをあちこちに隠していました。彼の場合は病気の事もあり便臭が普通の人と違っていたのですぐわかりましたが(嬉しくないけど)Gさんは一般人と同じなので、ちょっと便臭がしてもすぐにGさんとわからないのが問題。(いや、そういう問題でもないが…)

なんと言うか、今日は宝探しをした上に、当たり一杯で仲間に褒められたのは喜んでいいのかどうか、わかりません。経験から来たという事でしょうか?(苦笑)

これからもたまに宝探ししないと衛生上問題ありなユニットになってしまいます。今日はバナナを発見した棚を掃除しました。もう鼻もおかしくなったのか、いつでもどこにいても便臭とバナナ臭がするような気がします、とほほ。

# by anthonbergdk | 2009-09-04 00:43 | 資格取得に向けて 

死に逝く人

高齢者が死に向かう事を決めた後は早い。ゆっくりと、ではあるけれど1日ごとに変化していく。


"研修先にて"を書いたのは1ヶ月半前。この時はこんなにも元気だったEさんですが、現在は死に向かう気持ちになってしまったようで、日に日に変わって行く。

私が夏休みの間、転倒して(多分)胸骨骨折(凄い紫色になっていた)、肺炎、高熱などで苦しみ、熱も下がらないまま2週間、その後は微熱になったりの繰り返しだが、最初に会った時のEさんとはもう違う。自分で歩けなくなり脱走する気力もなくなった。食事も自分で出来なくなった。先週はコーヒーを膝にこぼしてしまいやけどをした。もう何をしても悪い方に進んでしまう。Eさんは生きる事を諦めたような表情になり、今は介護士に言われるまま、ちょっと起きてみんなと過ごして昼食後はずっとベッド。

しかし食事はちゃんと食べる。まるで最後のエネルギーを使っているかのよう。ベッドに寝ると呼吸もしているのかしていないのか、という感じだが目は開いている。足は少しずつだがむくみ、チアノーゼが見えて来た。体は湿った汗でじっとりしている。

『あとどのくらい持つかな?』

職場ではこの会話ばかり。Eさんは多分この数週間が勝負だろう。もしかしたら明日かもしれない。もしかしたら3週間後かもしれない。でも年越しは無理だろう。

アシスタントのLさんが『Eさんね、もう生きる事を諦めたのよ。目でわかるでしょ?だからきっともうすぐよ。』と言っていた。

そういえば私の父も『もういい。』と言ってから早かった。人は自分で命を短く出来るのだろうか。身内の時、父の時はどんな状態でも生きていて欲しいと思ったが、それは私のわがままだ。病気や体調不良や老化の状態で生きて行くのは恐ろしい程のエネルギーを使い、精神的に追いつめられる。治らない状態と戦って、希望のかけらもない、そんな時には『早く楽になればいいのに。』と思うようになった。

先日私の大好きだったSさんが他界した。最期の数ヶ月はほとんどベッドだった。ホームに行っても寝ていると言われた。最後の最後はずっと『お父さんとお母さんに会いたい。二人のところに行きたい。』と言っていたそうだ。だから今は希望が叶ったという事で良かったのだと思う。あんなに大好きだったけど、悲しいと思わない。楽になったのは彼女にとって良かった事だろう。

しかし日本にいた時に私の『恋人』だったしんちゃんが他界したと聞いた時はショックで頭が真っ白になった。謝りたい事が一杯だった。しんちゃんは私の事が大好きで、私達は本当に良い関係を築いていた。私が結婚したと聞いて、『何で外人なんだ!』とふてくされていたよ、と友人から聞いた時、かわいいなぁ、しんちゃんは。いつもみたくぎゅーって抱きしめてあげたいな、って思った。私の夜勤の時にはいつも来て、一杯話してお茶を飲んで、あのひとときは私の唯一のくつろぎだった。しんちゃんから一杯色々な事を学んだ。

自分が職場を去って一番心残りだったしんちゃんが、最後は元気もなくなり病院で他界したと聞いて、どんなに寂しい気分で逝ったのだろう、と心が痛む。きっとしんちゃんの事だから認知症にもならず、最後まで状況がわかっていた事だろう。

私が天国に逝った時には絶対にしんちゃんに会って謝りたい。そして天国でもお茶飲み友達として過ごしたいと思う。

入居者さんに入れ込むのはプロ失格です。でも私にとってしんちゃんだけは特別でした。それだけは変えられない事実です。彼にもう一度会いたかったです。

介護の仕事は精神的に強くないとなれない、と別の研修生が言っていました。研修期間だけでもう駄目だと思ったそう。だから資格は取るけど別の道に進む、と。私は自分でこういう事を含めても介護に向いていると思うからこの道でやっていくけど、やはり死に向かう人と向き合う事はたとえ他人でもエネルギーが入ります。でも自分の時は少し楽かもしれません。だって自分の時は、もう無理だとわかったら父が決断した時のように天国に行く事を選べばいいのだから。そうしたら苦しむ時間も少なく、きっとすぐに呼びに来てくれると思う。

特に老人の場合は若い人と違って戦える程のエネルギーがない。だから早く楽になって良かったね、と言える。Eさんは80代。ちょうど良い年齢かもしれない。結婚して、旦那や子供に先立たれて身内もほとんど残っていない。とてもかわいそうな人生だったのに、いつも笑顔でかわいい人だった。声をかけると一瞬見せる笑顔にはきっと『ありがとう』が含まれていると思う。どんな時でも絶対に『痛い』とか『苦しい』とか『辛い』と言わなかったEさん。今ちょっとだけ『辛い』を言うようになった。そうとう辛いのだろう。後はEさんの苦しむ時間が短い事を祈るだけです。

# by anthonbergdk | 2009-08-27 19:11 | 資格取得に向けて 

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